事務所通信
緊急特集!不況に負けるな中小企業!!(H20年12月号)
毎日倒産、不況と暗いニュースばかりですが、嘆いていてもどうしようもありません!
自社を守るためには、
「継続して利益を出す事」
「資金ショートしないように資金繰り対策を行うこと」
この“利益”と“資金繰り”の二つにつきます。
今回は、そのうちの資金繰り対策について、現在、国が行っている制度についてご紹介します。
1. 緊急保証制度の拡充
- 保証枠の拡充 ⇒比較的借りやすくなります!
- 保証協会の保証率80%→100% ⇒銀行はノーリスクで融資を行えるため、事実上、保証協会のOKをとりつければ借入が可能です!
2. 予約保証制度の導入
将来の資金需要に備えてあらかじめ保証協会の審査を受け、将来の保証付き融資の予約をする事が可能です。予約時には手数料は必要ありませんが、実際に利用した場合には通常よりも高い保証料率(0.2%程度)が適用されるため、注意が必要です。
3. セイフティネット貸付の拡充
日本政策金融公庫(旧国金)などによるセイフティネット貸付の貸付枠が拡充されました! ⇒比較的借りやすくなります!
4. 貸出先の審査基準の改定(金融庁の金融検査マニュアルの改訂)
金融機関は融資先を正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と大きく五つに区分しています(事務所通信Vol.2参照)。この区分が下がると、金融機関は不良債権として「貸倒引当金」という“費用”の追加計上が必要になります。そうなると、業績に悪影響を与えるため、当然これを避けようとします。
元本返済の棚上げや利息の減免などの返済条件の変更、いわゆる“リスケ(リスケジュール)”もこの区分の引き下げに該当します。そのため、金融機関はリスケにはなかなか応じてくれません。
ただし、リスケをした場合にも一定の条件をクリアーしていれば、この区分の引き下げには該当しません。その基準が次のとおり緩和されました。
【従前】
- 3年以内に経営が健全化するような「経営改善計画」の提出が必要(計画通りの進捗も必要)
- 計画期間中も一定以上の金利の確保が必要
【改定後】
- 健全化するまでの期間を原則5年以内と延長
- 一定以上の金利を確保しなくてもOK
- 「経営計画」をつくっていない場合にも、経営改善の見通しがあればOK
(計画が遅れていても改善が見通せる場合にはOK)
⇒この基準改定により、今までよりも金融機関はリスケに応じやすくなります。
資金繰り対策について、???を利用して新規借入が可能な場合には問題ありません。しかし、それがダメならば・・・。ここで強調しておきたいことは“支払の順番を間違ってはいけない!”ということです。
経営者の方は銀行への返済を最優先にする傾向があります。銀行に返済するために、ノンバンクからお金を借りたりするのはもってのほかです。リスケをすると、当然新規の借入はできません。
しかし、返済を止めていてもお金が回らなければ、そこに新規の借入をしたところでも結果は同じです。
「銀行借入」「従業員の給料」「仕入先への買掛」「税金」どれから払おう・・・?そんな状態になった時には必ず事前にご相談ください。きっちりとした経営改善計画を作成のうえ、金融機関との交渉をおこなえば状況を打破することも可能です!
ここで、「経営計画」というものが出てきましたが、中小企業でこれらを作成し、実行管理ができている会社はほとんどありません。中小企業の社長は“営業は得意だが管理は苦手”という方が多いからです。
それでも、金融機関が「経営計画」の提出を求めるのは、そのような計画・管理のできている会社ほど儲かっているということの裏返しです。
この不況下で売上を増やすのが難しいなか、利益を確保するためには 利益率を上げるしかありません。
それには、
- 商品、得意先ごとの利益率を把握しているか?今、何を売らなければいけないのか?
- 無駄な在庫はないか?売れる時に在庫切れはおこっていないか?
- それぞれの社員の生産性きっちりと把握できているか?
このような事を経営者・社員ともにも把握し、会社一丸となって乗り切っていく事が必要ではないでしょうか。
そのためには、金融機関に提出するために計画を作るのではなく、本当に経営に役立てるための「現状分析」⇒「計画の作成」⇒「実行管理」が重要です。これにより、無駄があぶりだされ、力を入れるべき点も明確になり「利益がでる体質の会社」へと自然と変わっていきます。