事務所通信

保証協会の保証が変わる??(H19年10月号)

この10月(H19)から信用保証制度が改正されます。今までは保証料を支払うと保証協会が保証人になってくれ、金融機関の貸し出しに対して100%を保証する制度でした。これが、今月より80%に縮小されます。つまり金融機関は20%の貸し出しリスクを負うことになります。そうなると当然、金融機関の融資審査は厳しくなります。自分の会社は問題なくても、取引先が・・・なんて事も考えられますので注意が必要です。今回はこれらを踏まえて、今まで以上に重要になる金融機関対策について簡単に解説したいと思います。(ただし、従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の法人又は個人に対して、融資残高1250万円まで保証協会が100%保証する小口零細企業保証制度が導入され、小口零細企業についてはこの制度改正の弊害を受けないよう配慮されていますのでご安心ください。)

《1.金融機関の重視するキャッシュフロー経営》

昨今、金融機関においては企業評価をキャッシュ創出能力に基づいて行うようになってきています。従来の企業評価は、“利益"が判断基準にされ、金融機関においても利益が多額の企業には積極的に融資を行っていました。しかし、近年において利益は多額にもかかわらず倒産する企業が増加傾向にあります。このため、金融機関も企業の業績(利益)よりも、企業としてのキャッシュ創出能力、つまりは“返済能力"がどれほどあるかに注目したうえで企業を評価し、融資を行うべきであるという考え方に変化しています。キャッシュ創出能力は「最終利益+減価償却費」により簡易的に算出することができます。いちど借入残高を、今算出した金額で割ってみてください。借入を何年で返済できるかが算出できます。金融機関はこれが何年以下なら融資してくれるのでしょうか?次号以降でこれらについてさらに詳しくご紹介していきたいと思います。

《2.銀行は融資先をランク付け!?》

銀行等は、融資先を?正常先?要注意先、要管理先?破綻懸念先?実質破綻先?破綻先の5区分に区分し、この区分によりそれぞれの融資先に対する対応を変えています。そこで、以下にこの5区分についての金融機関の対応を少し詳しく述べていきます。

正常先・・・返済能力に特に問題がなく、スムーズに融資に応じてもらえます。

要注意先・・・正常先ほどスムーズに融資に応じてはくれません。今後状況が好転することが確実な場合などには、要注意先と判断していても融資を受けられる可能性は高いと考えられます。しかし、要注意先のうち融資条件の緩和等(返済額の減額など)を行った先(このような融資先は要管理先と判定されます)については、追加融資に金融機関は難色を示すと思われます。

破綻懸念先・・・ほとんどの場合追加融資等の支援は行ってくれず、担保資産があるなどで回収ができる相手先に対しては、それらの売却等の方法により貸出金の回収を図ろうとします。

実質破綻先・破綻先・・・貸出金は完全に不良債権化していると看做され回収策が実行されます。

経営者の方は自社がどのような格付けになっているかを知りたいと思います。金融機関によっては融資担当者に「わが社の債務者区分はなんですか?」と聞いてみると答えてくれる場合もありますので一度質問してみてはいかがでしょうか。

簡単に格付けのアップができる方法として“リースの利用”“財務諸表の表示を変える”“債務超過の場合は債務免除を実行する”“税効果会計を採用する”などがあります。これらの方法についても次号以降でご紹介していきたいと思います。